全般性不安障害とは
全般性不安障害とは、日々の暮らしの中で漠然とした強い不安・心配を慢性的に抱えてしまう病気です。不安・心配が尽きることがないため、徐々に心身に不調をきたし、そのことがまた不安や心配の増大につながるという悪循環に陥ります。
「心配し過ぎ」であることを自分で理解していても、人に言われても、努力で改善することはありません。また、パニック障害や社交不安障害とは異なり、不安や心配の対象が漠然としているため、「ある状況さえ避ければ症状が抑えられる」ということもありません。
全般性不安障害は、その存在があまり一般に知られていないことから、未治療のまま辛い日々を送っている方が少なくありません。また医療機関を受診したものの、更年期障害や自律神経失調症と診断され、適切な治療の機会を逸している患者様もいらっしゃいます。適切な治療を受けないでいると、うつ病やパニック障害、社交不安障害を合併することがあります。
漠然とした強い不安や心配によって辛さを感じている方は、お早めに当院にご相談ください。
全般性不安障害の症状
精神症状
- 常に不安や心配がある
- ちょっとしたことで不安や心配が強くなる
- 自分が細かすぎるのではないかと考え、余計に不安になる
- 注意散漫、記憶力低下・イライラ、不眠
- 容易であるはずのことも「失敗するだろう」と考えてしまう
身体症状
- 頭痛、頭の重い感じ
- そわそわとして落ち着かない
- 意識が朦朧とする
- めまい
- 自分の身体が自分ではないような感じ
- 熱感または悪寒
- 手足のふるえ
- 全身でドクドクと拍動を感じる
- 便秘、頻尿
全般性不安障害の原因
はっきりとした原因については、未だよく分かっていません。
ただ、全般性不安障害に陥りやすい体質というものが存在し、そこに強いストレスが加わることで発症する可能性が指摘されています。
特に、孤立状態にある方は、全般性不安障害のリスクが高くなると言われています。
孤立状態とは、引きこもりなどの物理的な状態だけでなく、一般的な社会生活を送りながら孤独を感じる状態も含まれます。
全般性不安障害の治療
全般性不安障害の治療では、主に薬物療法や精神療法が行われます。
薬物療法
一般的に、抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や5-HT1A受容体部分作動薬、抗不安薬であるベンゾジアゼピン誘導体やタンドスピロン(セロトニン5-HT1A受容体作動薬)などを使用します。
国内では全般性不安障害に対して厚生労働省より承認を受けている薬がないため、症状に合わせて抗うつ薬・抗不安薬が用いられます。
精神療法
カウンセリング、認知の歪みを把握した上で無理のない範囲で訓練を繰り返す認知行動療法、森田療法などにより、こころのコントロールを図ります。
森田療法は、不安障害における悪循環を断ち切るため、「あるがまま」のこころの姿勢の獲得を目指す治療です。